神前神社(こうざきじんじゃ)は、伊勢神宮皇大神宮(内宮)の摂社。内宮の摂社27社のうち第18位である。本項目では、神前神社と同座する、内宮末社の許母利神社(こもりじんじゃ)・荒前神社(あらさきじんじゃ)についても記述する。
3社とも地域の海岸の守護神であり、山頂に鎮座する。旧社地に比べて内陸寄りに鎮座しているが、境内には波の音が響いている。
概要
ここでは、3社共通事項について記述する。
三重県伊勢市二見町松下にある、小井戸口山(こいどぐちやま)の山頂に鎮座する。山は神崎海岸(こうざきかいがん)の南に位置する。この海岸では贄海神事(にえうみのしんじ)と呼ばれる、天照大神に奉る神饌を採る神事が行われていた。社地の面積は1反8畝3歩(≒1,795m2)。
神前神社
祭神は荒前比賣命(あらさきひめのみこと)。鎮座地の二見町松下の海岸鎮守の神である。同座する荒崎神社や、鳥羽市にある豊受大神宮(外宮)末社の赤崎神社にも祀られる女神で、倭姫命が恐縮したとされる。建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)の子で、瀬織津姫(せおりつひめ)の妹である。
許母利神社
許母利神社は内宮の末社16社のうち、第5位である。正殿は中絶し、神前神社と同座する。社名の許母利(=子守り)から、子授け、安産、子の成長などの祈願が行われてきた。
祭神は粟嶋神御魂(あわしまのかみのみたま)。荒前比賣命と同じく、二見町松下の海岸の鎮守神である。少名毘古那神(すくなびこなのかみ)と同じ神とされ、荒ぶる荒前比賣命を抑制するために祀られたと考えられる。
荒前神社
荒前神社は内宮の末社16社のうち、第12位である。正殿は中絶している。
祭神は神前神社と同じく、荒前比賣命。
歴史
伊勢神宮の摂社の定義より『延喜式神名帳』成立、すなわち延長5年(927年)以前に創建された。伝承では、倭姫命が二見を巡幸中、江神社を定めた後に荒前比賣命が倭姫命を出迎えたため、神前神社が定められたという。本来の社地は海辺に位置したが、浸水等により失われたため、小井戸口山に移った。小井戸口山山頂に移った明治期まで、交通不便な地であったことから、移転を繰り返していた。
交通
国道42号の伊勢市二見町松下にある日の出橋東交差点から東進し砂利道・土道を通り、石段を登った先に鎮座する。石段の段数は約280段である。神宮125社の中では、鴨神社に次ぐ難所と言われる。
- 公共交通
- JR参宮線松下駅より参道口(石段手前)まで徒歩約18分(約1.5km)。
- 三重交通バス夫婦岩東口バス停より参道口(石段手前)まで徒歩約11分(約900m)。
- 自家用車
- 伊勢二見鳥羽ライン二見JCTより国道42号を経由、約16分(約4.2km)。付近に駐車場はない。
脚注
参考文献
- 伊勢文化舎 編『お伊勢さん125社めぐり』別冊『伊勢人』、伊勢文化舎、平成20年12月23日、151p. ISBN 978-4-900759-37-4
- 宇治山田市役所 編『宇治山田市史 上巻』宇治山田市役所、昭和4年1月20日、862p.
- 学研パブリッシング『伊勢神宮に行こう』Gakken Mook神社紀行セレクションvol.1、薗田稔監修、学研マーケティング、2013年7月4日、82p. ISBN 978-4-05-610047-1
- 『日本人なら知っておきたい 伊勢神宮と125の社』タツミムック、辰巳出版、2013年11月1日、127p. ISBN 978-4-7778-1197-7
関連項目
- 伊勢国の式内社一覧
- 神宮125社の一覧
- 神前神社
外部リンク
- 神前神社(こうざきじんじゃ) 御同座 許母利神社 荒前神社 - 一般財団法人伊勢神宮崇敬会




