堅田 道久(かただ みちひさ、1919年 - 1992年)は、日本の調香師。資生堂研究所香料研究室室長を務めた。

経歴

東京大学農学部農芸化学科を卒業後、資生堂に入社。1955年より約2年間、南フランスのグラースにある香料会社ルール・ベルトラン・フィス・エ・ジュスタン・デュポン(Roure Bertrand Fils et Justin Duppont)に留学し、ジャン・カールに師事する。フランス、イギリス、アメリカの香料技術者協会の正会員となり、パリとニューヨークでは「香道」について講演をおこなった。

資生堂研究所香料研究室室長を長く務め、また東京大学アイスホッケー部監督も務めた。

初の「調香師」

本人の回想によれば、NHKのテレビ番組「みんなの職業」に出演するにあたり、打ち合わせでNHKのプロデューサーより職業を何と呼べばよいかと聞かれ、「ふつうは、調香技術者、調香家、調香研究者と呼んでいます」のように答え、その後、外国語のコンパウンダー、パヒューマーを紹介したものの、どれもピンとこない様子であった。しかしこのなかから選ぶことにして二人で考えていると、突然、プロデューサーが「調香の先生ですから、調香師ではどうですか。でも香具師(やし)と間違えられそうですね」と独り言を言ったが、堅田はパヒューマーがいちばん無難であると答えて別れた。そして放送に入るとアナウンサーから「本日のお客様は、調香師の……」といきなり紹介され、耳慣れない言葉にゲストの藤原あきともども、びっくりしたという。NHKアーカイブスによれば放送日は1960年10月29日である。

著書

  • 『香水のすすめ』、文芸春秋新社〈ポケット文春〉、1962年、国立国会図書館書誌ID:000001035001
  • 『香水』、保育社〈カラーブックス〉、1965年、国立国会図書館書誌ID:000001068528
    • 『香水 : 世界の香水のすべて』、保育社〈カラーブックス〉、1984年、国立国会図書館書誌ID:000001768226
  • 『もうひとつのフランス : フレグランスのはなし』、涛書房、1975年、国立国会図書館書誌ID:000001155818
  • 『香水のはなし』、西尾忠久との共著、東京アド・バンク、1978年、国立国会図書館書誌ID:000001413103
  • 『香りの魅惑と謎』、日本工業新聞社〈ポピュラーサイエンスブックス〉、1986年、国立国会図書館書誌ID:000001835169
  • 『香水 第二版』、保育社〈カラーブックス〉、1992年、ISBN 4-586-50827-2

翻訳書

  • ジャック・ル・マニャン『匂いと香料』、白水社〈文庫クセジュ〉、1954年、国立国会図書館書誌ID:000000914133
  • シャルル・ブルジョワ『美容の化学』、白水社〈文庫クセジュ〉、1962年、国立国会図書館書誌ID:000001034109

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 堅田道久『香水 第二版』保育社〈カラーブックス〉、1992年4月30日。ISBN 4586508272。 

香水(堅田道久 著) カラーブックス80 bookstore ナルダ

香水のすすめ(堅田道久 著) ポケット文春504 bookstore ナルダ

香水(堅田道久 著) カラーブックス80 bookstore ナルダ

「香水」(堅田道久 著) 村の古本屋《追分コロニー》

香水のすすめ(堅田道久 著) ポケット文春504 bookstore ナルダ